2023/10/30 11:09




「もう一度食べたい」をもとめて


高林堂は創業一三八年。一貫して黙黙とお菓子を作ってきました。幼少の頃は、住まいの下に工場と店舗がある環境で育ちましたので、小学校一・二年生の頃から自然と店の手伝いをしてきました。住み込み修行の職人が何人もいて、働く父の背中を見ながら彼らと一緒に育ってきました。これも高林堂の長い歴史の一ページです。


そんな私が、いまの高林堂を預かり、スタッフの皆さんと共に日々おいしいお菓子をお客様にお届けしています。


どんなに、おいしくてもすぐに飽きるものではだめで、もう一つ食べたい、もう一度食べたいと思うものを作りたいと考えています。

どんなに、見た目がきれいであっても食べておいしくなければだめだとも思っています。

お菓子は食べれば消えてしまうものです。目にも華やかな美しさをお客様にお届けしたいという思いはありますが、それを口にしたときの「おいしい」が、私にとっては一番!作ったお菓子が「おいしい」と消えていくことに無上の喜びを感じます。


日本独自の四季と文化をあらわす和菓子


私は、季節の和菓子に触れながら、日本の文化を再認識してほしいという願いがあります。日本の文化や行事が、じょじょに廃れてきているように感じています。それが和菓子離れにつながっているように思うのです。和菓子への間口を広げ、もっと身近にあんこや餅を感じてほしいと思います。


そのためには、若い方にも親しみやすい和菓子を作り、来店していただきたい。

店内では日本の四季と文化を感じていただけるような和菓子を作りたい。もう一度食べたいと思っていただけるような地味でもシンプルでおいしい和菓子を作りたい。これから先の私たちの日常に和菓子があり続けることを願い、できること、いいと思うことは何でもみなさんとチャレンジしていきたいと思っています。



100点でなくても、プロとしてのチャレンジを!



子どもたちに和菓子に触れる機会を作り、和菓子屋という職業を子どもたちの憧れにしたいとも強く思っています。そして、それを提供する高林堂の皆さんにも、「和菓子屋は夢のある職業だ」、自分は文化の継承者としての任を負っているという自負ももってほしいと願っています。そして、作る技術、接客の技術など、個々に応じた技術を身につけ、自身のキャリアをアップさせてほしい。一人一人が各々の立ち位置でのプロとして、あこがれの対象となってほしいのです。高林堂が、各々が次のステージにあがるための踏み台となってもいいとさえ、思っています。そのために、従業員の皆さんがたくさん学び、たくさんチャレンジができる環境を整えたいと思います。


過去には、イギリスの客船クイーンエリザベス号に高林堂の和菓子も私も乗船し、海外の方に和菓子と文化に触れていただき、グローバルなチャンスも広がりました。和菓子のすばらしさを伝えるために、今後もチャレンジを続けていきたいと思っています。


私自身はだめ人間です。

100点満点の出来なんてまずないです。100点でなくてもチャレンジすることを良しとしたいです。


みなさん、一緒に楽しみましょう!


(髙林堂社長 和気康匡)